脇指 770 信國(左衛門尉)
- Nobukuni(Saemon no jo) -

刃長 一尺五分九厘弱 / 32.1 cm 反り 一分一厘強 / 0.35 cm
元幅 22.6 mm 元重 4.7 mm
先幅 19.8 mm 先重 3.5 mm
目釘穴 1個 時代 室町初期
The early years of Muromachi era
鑑定書 保存刀剣鑑定書 登録 昭和56年5月12日 大阪府登録
附属 ・素銅地下貝銀着上貝金着二重はばき
・腰千段刻石目塗鞘脇指拵
価格 660,000 円(税込)



古来、初代信國は相州貞宗の門人といい、時代を建武と伝えていますが、現存するものに建武およびその近辺の年紀は皆無で、またそこまで遡ると鑑せられる作も見当たらず、しかも現存する最古の延文・貞治年紀の信國の作風が、貞宗と直結することから、今日では延文・貞治を初代と見做すのが通説となっています。
彼は伝書に拠れば了久信(了戒の子)の子、或は孫と記されていますが、延文三年及び康安元年紀の作に来派の伝統である直刃が見られることや、鍛えが直刃・乱れ刃に拘らず流れるところなどに所伝を首肯せしめるものがあります。
南北朝末期には代替わりの信國が存在し、更に応永頃に入ってからの信國派には、式部丞信國・左衛門尉信國の両工が代表工として著名で、他に二字銘の信國を銘する刀工がおり、いずれも應永年紀を切るところから「應永信國」と呼称されています。
同銘が何人いるか明らかではありませんが、流石に京鍛冶の名門であるだけに、信國を名乗る刀工の作には優れたものが経眼されます。
初代信國の作風は京物の伝統を示した直刃と貞宗風を承けた湾れ刃の二様が主でしたが、南北朝末期の代替わりの信國から「應永信國」にかけては、上記の作風のほかに互の目調の乱れ刃の作域が新たに加わります。

この脇指は應永信國を代表する名工、左衛門尉信國による作品で、すらりとした姿に鎬を中心に素剣と幅広い樋を掻き、地鉄は小板目に杢が交じって刃縁柾がかった精良な地鉄が少しく肌立って、刃文は匂口明るく、直刃に小湾れや互ノ目を交え、刃縁の上に一際明るく輝く金筋が二重に現れ、古雅な雰囲気を醸し出しています。相当働いてきたようで、刃区上部や一分焼刃が駆け出している箇所が見られるも、美術鑑賞刀としての力を十二分に持つ逸品です。当店にて研磨を施しました。研ぎ上がったばかりの地刃の冴えを心ゆくまでご堪能下さい。

附属の拵は保存状態芳しく、金具は四分一による一作。鞘は腰を千段刻みとし、先の黒石目塗り部分には珊瑚を埋め込み、それを花に見立てて闇蒔絵が施されています。

裸身重量145グラム。  拵に納めて鞘を払った重量303グラム。


各種クレジットカード、セディナショッピングローンによる分割購入も承っております。お気軽にお申し付け下さい。