槍・薙刀 047 信國 文明十三年十二月日
- Nobukuni -

刃長 一尺六分六厘 / 32.3 cm 反り
元幅 19.3 mm 元重 9.3 mm
先幅 25.1 mm 先重 7.0 mm
目釘穴 1個 時代 室町中期文明13年(1481)
The middle period of Muromachi era
鑑定書 特別貴重刀剣認定書 登録 昭和35年12月20日 東京都登録
附属 ・白鞘 価格 660,000 円(税込)



古来、初代信國は相州貞宗の門人といい、時代を建武と伝えていますが、現存するものに建武およびその近辺の年紀は皆無で、またそこまで遡ると鑑せられる作も見当たらず、しかも現存する最古の延文・貞治年紀の信國の作風が、貞宗と直結することから、今日では延文・貞治を初代と見做すのが通説となっています。
彼は伝書に拠れば了久信(了戒の子)の子、或は孫と記されていますが、延文三年及び康安元年紀の作に来派の伝統である直刃が見られることや、鍛えが直刃・乱れ刃に拘らず流れるところなどに所伝を首肯せしめるものがあります。 南北朝末期には代替わりの信國が存在し、更に応永頃に入ってからの信國派には、式部丞信國・左衛門尉信國の両工が代表工として著名で、他に二字銘の信國を銘する刀工がおり、いずれも應永年紀を切るところから「應永信國」と呼称されています。 同銘が何人いるか明らかではありませんが、流石に京鍛冶の名門であるだけに、信國を名乗る刀工の作には優れたものが経眼されます。 初代信國の作風は京物の伝統を示した直刃と貞宗風を承けた湾れ刃の二様が主でしたが、南北朝末期の代替わりの信國から「應永信國」にかけては、上記の作風の他に互の目調の乱れ刃の作域が新たに加わります。

長さ一尺を超える槍を大身槍と呼称します。この槍は文明十三年の年紀が切られた貴重な一筋で、ケラ首は五角形で長く、ケラ首下部幅17.3ミリ。ケラ首下部重ね11.3ミリ。茎長さ約40.3ミリ。元先の幅差開いて先に行くに従って幅広くなり、フクラ尋常。ケラ首部分に三鈷剣。平地には幅広い樋を角止めとし、その中に龍が巧みな技術によって彫られています。
地鉄は板目肌よく練れて地景入り、刃文は匂口明るく、直刃貴重に浅く湾れて互ノ目を交え、刃縁には砂流が随所に現れ、刃中には肌に添って現れた千変万華の働きが、何とも言えぬ味わい深さを醸し出しています。鋩子は直ぐにこれもまた盛んに砂流を伴って丸く返っています。

相当働いてきたようで、研ぎ減りによって低くなったケラ首周りの区の段差や、顔と鱗が消えた樋の中の龍の彫りと、刃毀れとして残る誉傷が、幾度と無く過酷な戦場を潜り抜けてきた様子を今に物語ります。
現状古研ぎですので、然るべき上手な研磨を施し、本槍の地刃の冴えを存分にお楽しみ頂きたい名槍です。

裸身重量500グラム。


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