分類 甲冑 観賞用


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小札紺絲威大鎧(皆具揃)
-Kozane Kon-ito Odoshi O-yoroi (Kaigu-zoroi)-

昭和前期~中期 The early to middle Showa period
附属 胴、大袖、兜、栴檀板、鳩緒板、鍬形、面頬、喉輪、籠手、佩楯、大立挙臑当、毛沓、白木唐櫃


大鎧は、騎馬による弓射戦を想定して発達した、平安時代以来の式正の甲冑です。正面へ弓弦の引っ掛かりを防ぐ弦走韋を張り、右脇を脇楯で塞ぎ、前後左右に大きく分かれた草摺と両大袖によって、馬上の武者を堂々と包み込みます。武具としての機能と、武家の威儀を示す華麗な装飾性が最も壮大な姿で結実した形式といえます。

本作は昭和前期から中期に、某ホテルの創業者が当時の甲冑師へ特別に誂えさせたと伝わる一領です。古式大鎧の構造を丹念に研究して仕立てられた復元作で、現在も良好な状態を保ち、観賞用としてはもちろん実際の着用にも対応します。特別注文ならではの充実した仕様と、長い年月を経て生まれた落ち着いた風格が調和した、見応えのある作品です。

胴、大袖、草摺には、練革製ではない本小札を一枚ずつ丹念に綴じ合わせた本格的な札仕立を採用。本小札は多数の小札を成形し、穿孔し、横へ綴じ連ねたうえで各段を威すため、制作には膨大な手数を要します。整然と重なる細かな札が光を受けるたびに繊細な陰影を生み、量産的な飾り鎧とは一線を画す緻密さを見せています。

深い紺色の絲を隙間なく通した毛引威が、胴から大袖、草摺へ一貫して展開。濃紺の静かな色調を、鍍金金具と菱縫の赤みが鮮やかに引き締めています。正面の弦走韋には格子状の文様を配し、その左右へ栴檀板と鳩尾板を添えることで、大鎧らしい華麗な胸元を構成。両肩へ大きく張り出す大袖と四方へ広がる草摺が呼応し、どの角度から眺めても堂々たる量感を堪能できます。

兜には天へ高く伸びる大鍬形と龍頭前立を掲げ、力強い立物が濃紺の鎧へ鮮烈な金色を添えています。面頬と喉輪が顔から首元を引き締め、籠手、佩楯、大きく立ち上がる立挙を備えた臑当、毛沓までを完備。頭部から足元まで大鎧の威容を余すところなく再現できる皆具揃です。

細密な本小札、落ち着いた紺絲の毛引威、弦走韋と鍍金金具、堂々たる大袖に、兜から三具、毛沓までが揃う充実度は大きな魅力。鎧立へ掛ければ空間を格調高く彩り、実際に纏えば本小札ならではの重厚な動きと、馬上武具を源流とする大鎧の迫力を体感できます。確かな甲冑師の技術と、特別注文ならではの贅沢な仕様を存分に味わえる、昭和期復元甲冑の逸品です。

※写真に写る黒い唐櫃は撮影用のため附属しません。実際には白木の唐櫃が附属します。