太刀 067 マサヒラ(五条兼永写)
- Masahira saku(Gojo Kanega utsushi) -

刃長 二尺四寸八分七厘 / 75.35 cm 反り 七分 / 2.11 cm
元幅 31.2 mm 元重 6.8 mm
先幅 物打22.5 mm  横手位置18.5 mm 先重 物打5.0 mm  松葉位置4.0 mm
目釘穴 1個 時代 平成29年(2017)
The last years of Heisei era
鑑定書 登録 平成30年9月7日 福島県登録
附属 極上素銅地金着菱紋はばき
極上白鞘
価格 3,500,000 円(税込)



古山城物の刀工と言えば、三条宗近、吉家、五条兼永、國永(鶴丸の作者)などが挙げられますが、いずれも在銘物は極めて少なく、古い時代より宝剣として珍重されてきました。
五条兼永は、三条宗近の門人である在國の子、或いは孫と伝えられており、京の五条坊門にて作刀していたためにその地名を冠して五条兼永と呼ばれています。活躍したのは平安後期の長元(1028年)頃と伝えられ、前述の通り、兼永の正真確実な在銘物は極めて少なく、重要文化財指定の太刀一振と重要美術品指定の太刀一振に重要刀剣指定の三振を加えた計五振が確認されています。その中でも銘が二字とも残っているのは重要文化財指定のものと重要美術品指定品の二振のみで、他の重要刀剣指定の三振はいずれも「兼」の一字のみが茎尻に残っているだけ。
五条派は、山城国で三条派に続いて登場する刀工群で、銘鑑や古書によれば兼永、国永、兼次、兼安などの刀工がいると伝わるものの、現在確認されている正真確実な作品は兼永とその弟、或いは子と伝わる國永(鶴丸の作者)のみ。

人気ゲーム、刀剣乱舞に発する近年の刀剣ブームの中、数多の現代刀匠達が古名刀の写しを鍛えていますが、それらは姿を真似ただけのもので、刀剣趣味玄人の鑑識眼からみれば、古名刀とは程遠く、姿も完成度も低い、到底写しとは言い難いものばかりと言えます。

古刀の写しを造るにあたっては、大きく二つの手法があり、押形から姿を写し、鋼をキャンバスに土取りで刃文をデッサンする方法と、当時の鍛錬法を探り、地鉄を再現することによって、自然な土置きながら、炎と水、つまり焼き入れによって本歌に迫る出来を目指すものとに分かれます。
今現在我々が経眼する多くの写し物は、この前者の手法で造られており、そのため、古刀ではなく、現代刀にしか見えない地刃の出来なのです。

古刀再現の第一人者である藤安将平刀匠は、上述にある後者の技法を用い、古刀写しに挑んでいます。
氏の写し製作は、現物を仔細に観察し、地鉄の練り方や疵の出方などを調査することから始まり、材料となる鋼の製作から入ります。
この五条兼永写しは、平成29年に鍛えた品。完全なる古刀と断言して良い出来口で、映り立つ地鉄、深みを帯びた柔らかな刃文等は、本歌古名刀に迫り、刀剣趣味玄人の鑑定眼を欺くほどの出来栄えです。
当店にて白鞘・はばき・研磨等、全ての諸工作に於いて最高の仕事を施しております。研ぎ上がったばかりの清々しい兼永写しを、是非この機会に御入手頂き、その出来栄えを存分に御堪能下さい。
※掲載写真は銘切り前のもので、現在は棟にマサヒラと銘切られています。

裸身重量707グラム。


藤安将平プロフィール
藤安将平刀匠は昭和二十一年福島県伊達郡生まれ。昭和41年長野県坂城町の刀匠、故人間国宝、宮入行平師に入門。
昭和50年福島県立子山に鍛刀場を開設して独立。以後作刀の研究修練を重ね日本美術刀剣保存協会優秀賞3回、奨励賞6回、努力賞7回を受賞。平成2年には日本美術刀剣保存協会会長賞受賞。同14年日本美術刀剣保存協会寒山賞を受賞。

尾張熱田神宮、奈良護国神社など多くの神社で奉納鍛錬を行い、平成20年には、704年、佐備大麻呂の作剣以来、およそ千三百年ぶりに常陸鹿島神宮において日本刀奉納鍛錬を行う。

昭和59年秋には伊勢神宮第61回式年遷宮、御神宝太刀謹作奉仕の大役も担い、 先の震災で大きな被害を受けた福島県南相馬の御刀神社復興支援にも大きく尽力され、御神宝となる直刀を謹作奉仕し、直近では福岡の宮地嶽古墳出土大直刀の復元鍛錬など、現代日本刀匠屈指の作刀技術を持っている。

平安、鎌倉時代の古刀剣再現への強い想いを持ち、長年研究修練に取り組み、国宝、重要文化財やそれに類する刀剣類、全国の砂鉄や鉄文化の知識見識も豊富で、太刀、刀、短刀、脇指、薙刀、古代直刀など、どれを手掛けても正確で美しい刀姿を造り上げる。
地鉄、焼刃の手際も鮮やかで幅広い製作能力を誇り、中心鑢や銘文といった中心仕立ても現代刀匠随一で、師である行平没後、師の実子である宮入小左衛門行平(宮入恵)を預かり、弟子として鍛刀修業を積ませた経緯からも、師の信任が厚く、その技量の高さを物語っている。

近年は奈良正倉院収蔵の直刀、手鉾のなど奈良時代の刀剣類の研究、復元製作にも取り組まれ、上記の御刀神社奉納直刀の焼刃などは神域に入られたと言っても過言ではない。

刀心店主、町井勲(修心流居合術兵法創流者、居合に関するギネス記録を6つ保持している)が最も信頼を寄せる現代屈指の刀匠としても知られ、将平刀はテレビ番組内で町井の手によって、鉄パイプ、鉄板切断など日本刀の本分である利刀(折れず曲がらずよく切れるの三事)としての能力も非常に高いことが証明されている。
また将平刀匠は弓、弓道にも深い造詣を持たれており、京都の御弓師柴田勘三郎氏とも長年に亘る親交があって、地元福島では弓術の指導にもあたっている。
人格そして技量に於いても、人間国宝や無鑑査に認定されるべき人物だが、表の世界に出るのを拒み、今尚福島県立子山で黙々と作刀研究に勤しむ生粋の職人肌刀匠である。更なる詳細はこちらをご覧下さい。


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