刀 1660 無銘(宇多友次) 誠(切付銘)
- Mumei(Uda Tomotsugu) -

刃長 二尺一寸八分六厘 / 66.23 cm 反り 五分一厘 / 1.55 cm
元幅 27.3 mm 元重 7.2 mm
先幅 物打21.3 mm  横手位置18.6 mm 先重 物打5.5 mm  松葉位置4.2 mm
目釘穴 2個 時代 室町前期
The early period of Muromachi era
鑑定書 保存刀剣鑑定書 登録 昭和48年6月7日 東京都登録
附属 ・銀はばき
・白鞘
価格 550,000 円(税込)



宇多派は鎌倉時代末期の文保頃に、大和国宇陀郡から古入道国光が越中に移住したことによって興り、以後室町時代に渡って繁栄しました。 中でも鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての作品を古宇多、室町期の作品を宇多と、それぞれ称呼しています。 作風としては、本国大和物に類似したものや、山城物や相州物を思わせる地鉄のものなど作域が広く、地鉄は板目に杢目や柾目を交え、大肌となったり地がやや黒ずんで、喰違刃、ほつれ、金筋、砂流し、掃掛等の刃の働きが現れた作品が多く見られます。

友次は宇多派を代表する刀工の一人で、この刀は大きく磨り上げられ、中心尻に“誠”と読める一字のみが残っています。小疵はあるも刃中に欠点は無く、僅かに元先の差があり、反り程よく総体的に優しい感じの体配で、切先はやや延びごころ。鎬が高く、指表には腰樋に添え樋を丈比べのように丸留めにし、指裏には腰元に二本樋を掻いた手の込んだ造り込みから、凡刀ではないことが窺い知れます。
地鉄は小板目杢交じりでよく練れて地景が入り、小沸本位の直刃を焼き、解れごころの刃を交え、鋩子は表裏共に直ぐに先丸く返り、全体的に古調な刃文が見どころになっています。
また、注目したいのは茎尻に残る『誠』の切付銘。本刀を帯びていた士の、忠義を尽くす心を刻んだものでしょうか。非常に興味深いです。

裸身重量554グラム。

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